国会王子 武田一顕のよろしくどうぞ2026年02月22日 16:10
2月20日、高市首相は施政方針演説を行った。私が注目した点を二つに絞って記しておきたい。
まず、高市氏が漢文を引用したことである。
「信以て義を行い、義以て命を成す」
これは中国の古典『春秋左氏伝』からの引用で、「自らを偽らずに、誠実に人として正しい道理を実践し、正しい道を行うことで使命を全うする」という意味だとされる(産経新聞解説)。
歴代内閣では、施政方針演説や所信表明演説において中国古典を引用することは珍しくなかった。一方で、高市氏が師と仰ぐ安倍晋三氏は、在任中の主要演説で中国古典を引用することはほとんどなかった。対中国において一貫して緊張感を保った安倍氏の姿勢とも重なる。
2015年の施政方針演説で安倍氏は吉田松陰の言葉として「知と行は二つにして一つ」を引用した。ただし、この言葉の元ネタは明代の思想家王陽明の「知行合一」である。さらに、元号も長らく中国古典を典拠としてきたが、「令和」は日本最古の歌集である『万葉集』を出典とした。
こうした経緯を踏まえると、高市氏が中国古典を引用したことは象徴的にも映る。中国の友人の中には、日中関係改善に向けての一定のメッセージではないかと受け止める向きもある。
もっとも、演説の中盤では「中国は、東シナ海・南シナ海での力又は威圧による一方的な現状変更の試みを強化するとともに、我が国周辺での軍事活動を拡大・活発化させている」と述べ、中国への警戒感を明確に示した。中国古典からの言葉の引用と対中警戒を併記した構成は、対話と抑止を両立させる姿勢とも読める。
その本意はどこにあるのか…高市氏の日中関係に対する具体的な戦略は、今後の予算委員会などで徐々に明らかになっていくだろう。
二点目は、袈裟の下から鎧を見せるような「高市構文」である。
演説冒頭で高市氏は「政策実現に御協力をいただける野党の皆様とも、ぜひ力を合わせて取り組んでいきたい」と呼びかけた。協調の姿勢を示す一方で、「協力をいただける」という条件を明示している点が印象的だ。
消費減税についても、「野党の皆様の御協力が得られれば、夏前には(国民会議の)中間とりまとめを行い、税制改正関連法案の早期提出を目指す」と述べた。これも協力を前提条件とする表現である。
ともに協力がいただけないならこちらにも考えがある…とも読める。
衆議院では自民党が単独で三分の二を占めているが、参議院では維新と合わせても過半数には届いていない。したがって野党の協力は不可欠である。
協調を呼びかけつつも、政策実現の成否を野党の対応に委ねる形の言い回しは、責任の所在をめぐる政治的な駆け引きとも受け取られかねない。これまでの政界での歩みの中で国会運営経験が限られる高市氏が、今後どのように議会との対話を重ね、政策を実現していくのかが問われる局面に入ったと言えるだろう。
まず、高市氏が漢文を引用したことである。
「信以て義を行い、義以て命を成す」
これは中国の古典『春秋左氏伝』からの引用で、「自らを偽らずに、誠実に人として正しい道理を実践し、正しい道を行うことで使命を全うする」という意味だとされる(産経新聞解説)。
歴代内閣では、施政方針演説や所信表明演説において中国古典を引用することは珍しくなかった。一方で、高市氏が師と仰ぐ安倍晋三氏は、在任中の主要演説で中国古典を引用することはほとんどなかった。対中国において一貫して緊張感を保った安倍氏の姿勢とも重なる。
2015年の施政方針演説で安倍氏は吉田松陰の言葉として「知と行は二つにして一つ」を引用した。ただし、この言葉の元ネタは明代の思想家王陽明の「知行合一」である。さらに、元号も長らく中国古典を典拠としてきたが、「令和」は日本最古の歌集である『万葉集』を出典とした。
こうした経緯を踏まえると、高市氏が中国古典を引用したことは象徴的にも映る。中国の友人の中には、日中関係改善に向けての一定のメッセージではないかと受け止める向きもある。
もっとも、演説の中盤では「中国は、東シナ海・南シナ海での力又は威圧による一方的な現状変更の試みを強化するとともに、我が国周辺での軍事活動を拡大・活発化させている」と述べ、中国への警戒感を明確に示した。中国古典からの言葉の引用と対中警戒を併記した構成は、対話と抑止を両立させる姿勢とも読める。
その本意はどこにあるのか…高市氏の日中関係に対する具体的な戦略は、今後の予算委員会などで徐々に明らかになっていくだろう。
二点目は、袈裟の下から鎧を見せるような「高市構文」である。
演説冒頭で高市氏は「政策実現に御協力をいただける野党の皆様とも、ぜひ力を合わせて取り組んでいきたい」と呼びかけた。協調の姿勢を示す一方で、「協力をいただける」という条件を明示している点が印象的だ。
消費減税についても、「野党の皆様の御協力が得られれば、夏前には(国民会議の)中間とりまとめを行い、税制改正関連法案の早期提出を目指す」と述べた。これも協力を前提条件とする表現である。
ともに協力がいただけないならこちらにも考えがある…とも読める。
衆議院では自民党が単独で三分の二を占めているが、参議院では維新と合わせても過半数には届いていない。したがって野党の協力は不可欠である。
協調を呼びかけつつも、政策実現の成否を野党の対応に委ねる形の言い回しは、責任の所在をめぐる政治的な駆け引きとも受け取られかねない。これまでの政界での歩みの中で国会運営経験が限られる高市氏が、今後どのように議会との対話を重ね、政策を実現していくのかが問われる局面に入ったと言えるだろう。