日本パデル協会2025年08月21日 14:06
"パデルはオリンピック競技になれるのか?
~欧州大会での正式採用から考察~前編

こんにちは!日本パデル協会のFiNANCiE担当の川口です。
今回は、パデル関係者の間ではいつも話題に上がっている「パデルがオリンピック競技に採用されるのはいつなんだ!?」というところを話していきたいと思います。

■五輪マークを背負った歴史的デビュー
近年、世界中で急速に人気が高まっているラケットスポーツ「パデル」。
その勢いはとどまるところを知らず、日本でも「第2のテニス」としてメディアに取り上げられる機会が増えてきております。

そんなパデル愛好家や関係者の間で、かねてから話題に上がっている一つの大きな夢があります。
それは、「パデルがオリンピック競技になる」こと!

テニスや卓球、バドミントンなど、すでに多くのラケットスポーツが五輪競技として親しまれている中で、パデルもその仲間入りを果たす日は来るのでしょうか?

実は、パデルがオリンピックへの道のりを順調に進んでいることを示す、ある重要な出来事が起こりました。
2023年6月にポーランドのクラクフで開催された「ヨーロピアンゲームズ(欧州大会)」です。
この大会は、オリンピックに次ぐヨーロッパ最大の総合スポーツ大会であり、パデルはこの大会で初めて正式競技として採用されました!
この歴史的な出来事が、パデルのオリンピック入りを現実的なものにするための重要な一歩であると考えられています。

■ヨーロピアンゲームズとは何か?
まず、ヨーロピアンゲームズ(欧州大会)について簡単に説明したいと思います。

この大会は、欧州オリンピック委員会(European Olympic Committees=通称EOC)が主催するもので、夏季オリンピックの前哨戦とも位置づけられている大会です。

2015年にアゼルバイジャンのバクーで第1回が開催されて以来、4年ごとに開催されており、2019年に第2回大会がベラルーシの首都ミンスクで開催、2023年に第3回大会がクラクフ・マウォポルスカで開催されました。
競技種目には、オリンピック競技に加えてスケートボードや3x3バスケットボールなど、若者からの人気が高い新しい種目が採用される傾向にあります。

この大会の最大の特徴は、「オリンピックと同様にEOCの権威の下で開催される」点にあります。
このため、大会のシンボルや運営体制、ドーピング検査に至るまで、オリンピックとほぼ同じ基準が適用されています。

つまり、パデルがこの大会で正式競技として認められたことは、国際的なスポーツ界の主要な組織が「パデルをオリンピックにふさわしい競技」として公認したことを意味しているんです!

■パデルがオリンピックへの扉を開くための3つの条件
国際オリンピック委員会(IOC)は、新しい競技をオリンピックに追加する際に、いくつかの厳格な基準を設けています。

パデルがこの基準を満たすためには、主に以下の3つの条件をクリアする必要があります。

✅️1. 普及度(全世界での競技人口と参加国数)
IOCは、特定の地域に偏ることなく、世界中で広く普及している競技を重視しています。
具体的には、男子と女子の両方で4大陸75カ国以上で広く実施されていることが一つの目安とされています。
(パデルは現在5大陸90ヵ国以上)

現在、パデルはスペインやアルゼンチンといった国々で絶大な人気を誇ります。
スペインだけでも600万人以上の愛好者がいると言われ、競技人口はテニスを凌ぐ勢いです。
欧州全体でもイタリア、スウェーデン、フランスなどで急速に競技人口が増加しています。

また、パデルの国際的な統括団体である国際パデル連盟(FIP)には、現在70以上の国や地域の協会が加盟しており、この条件はほぼ満たされつつあると言えるでしょう。

アフリカやアジアでも着実に競技人口が増えており、特にFIPが主催する国際大会「ワールドパデルツアー」を通じて、世界的な知名度が向上しています。

✅️2. 統治(国際統括団体の存在と運営能力)
競技の公正な運営と発展のためには、強力な国際統括団体が必要です。
パデルには、1991年に設立された国際パデル連盟(FIP)が存在します。
FIPは、国際的なルールを統一し、世界選手権などの主要な国際大会を組織・運営しています。

ヨーロピアンゲームズでの正式採用は、「FIPがIOCやEOCとの間で円滑なコミュニケーションと調整を行う能力がある」ことを証明しました。
これは、オリンピック競技としての地位を獲得するために不可欠な信頼と実績を築いたと言えます。

✅️3. 魅力(テレビ放映権と若者へのアピール)
IOCは、テレビ視聴者やデジタルメディアのユーザーを惹きつけ、スポンサーシップを確保できる競技を求めています。

パデルは、そのスピーディーでエキサイティングなプレー展開、そしてユニークなガラスの壁を使ったショットが特徴です。
観客は、コートのあらゆる角度からプレーを見ることができ、ダイナミックなラリーは観戦する人々を魅了します。

また、パデルは比較的年齢や体力に関係なく楽しめるため、幅広い層にアピールできる可能性を秘めています。

特に、若者からの関心が高いスポーツであることは、IOCが重視するポイントの一つです。

ヨーロピアンゲームズのテレビ放映を通じて、パデルの魅力を世界中のより多くの人々に伝えることができたのは、大きな成果と言えるでしょう。


以上、途中ではありますが、ここで前編の終わりとなります。

来週は、「パデルのオリンピック入りはいつ実現する?」というところから続きをお話していきたいと思います。

来週もお楽しみに!"