こんばんは!
小説の続きができたので投稿します!!
後編にすると長くなりそうなので、これを中編とします!是非読んで感想やご意見お願いします!


それからはLINEのやり取りだけちょこっとだけ。

佐『尺、5分くらいにしようかと思うんだけど〜』
橋『ほい』

佐『この曲使うわ〜!』
橋『ほい』

佐『使う曲編集し終わったら教えて〜』
橋『ほい」

…こいつにはきっと、『ほい』以外の語彙がないんだな、ははっ。

そんな事を言い聞かせながら1人で練習を進める。そんなこんなで1ヶ月経ったある日。
そろそろ2人で合わせよう、と言う事で練習する事になった。
小さな部屋で曲を流す。
踊り出したあいつは、普段の態度そのまま、踊りもぶっきらぼうに見えた。
(こいつ、踊りもテキトーなんだな。)

「そろそろ時間だから」
橋本が取り出した携帯のロック画面。
チラリと見えた集合写真の背景には、見覚えがあるロゴマークが光っていた。
えっ、もしかして…

帰りの電車で開いたYouTube。検索したのは、何度見たかわからない2年前の世界大会の映像。
(懐かしいな)
そんな事を思いながら見ている映像に、あいつがいた。今とは違う表情で生き生きと踊る橋本が。
(やっぱり…このチームメンバーだったのか)
ロック画面はこの世界大会での集合写真だった。
さらに、最後のクレジットをみて鳥肌が立った。
[Choreography by Ken Hashimoto]

『明日、話さないか?』
気がつけば、橋本にラインしていた。


「やっぱり一緒に踊らないか?」
僕の言葉に、無表情のまま橋本は答えた。
「は、なんでだよ。面倒だし、もう完成してんだろ」

「お前、あのチームにいたんだろ」
橋本の表情が変わる。

「あの日本予選、僕も出てたんだ。お前らに負けちまったけど。あの大会に賭けた奴が2人もいるんだ、絶対いいショーができると思わないか?今からでも本気になりゃ…」

「本気になって、その後どうなる?」
食い気味で
「本気になってもいつか終わる。本気になるだけ辛くなる。それにこんな忘年会ごときで…何になるんだよ。」

いつもとは違う、勢いのある言葉に、返しが詰まる。
橋本が部屋を出るまでの数秒が、とても長く感じた。